2026.09.16
コラム
【現場のお悩み解決事例】母材に隙間があるレーザー溶接。ダブルワイヤーで肉不足・補修工数を改善|溶接の困ったを解決

【現場のお悩み解決事例】
母材に隙間があるレーザー溶接。ダブルワイヤーで肉不足・補修工数を改善|溶接の困ったを解決
製缶品や板金部品をレーザー溶接する際、「母材の隙間が大きく、ビードの肉が痩せる」「隙間を埋めきれず、補修が増える」といったお悩みはありませんか。
今回は、加工精度や組立精度のばらつきにより発生した母材間の隙間に対し、ダブルワイヤー仕様とワイヤー供給速度の最適化によって、安定した肉盛りと品質の改善につなげた事例をご紹介します。
今回のお悩み
「通常のレーザー溶接条件では、隙間のある箇所で溶接ワイヤーが足りず、ビードの肉が痩せてしまう。隙間が大きい部分は追加補修が必要で、品質も作業時間も安定しない。」
導入前の課題
製缶品や板金部品のレーザー溶接では、部品の加工精度や組立精度のばらつきによって、母材同士に隙間が生じることがあります。
今回のお客様も、通常の溶接条件でレーザー溶接を行っていましたが、隙間のある箇所では溶接ワイヤーの供給量が十分ではありませんでした。その結果、次のような課題が発生していました。
ビードの肉が痩せてしまう
母材間の隙間を十分に埋めきれない
必要な溶接量を確保しにくく、強度不足につながるおそれがある
隙間の大きい箇所では追加の補修溶接が必要になる
補修作業に時間がかかり、生産効率が低下する
溶接箇所によって仕上がりが異なり、製品品質がばらつく
レーザー溶接はスピードや熱影響の抑制といったメリットがある一方、母材間の隙間や必要な肉盛り量に対して、供給する溶接ワイヤーの量が合っていない場合には、ビード形状や溶接品質が安定しにくくなります。
実施した改善
遠誠株式会社マシン事業部では、隙間を埋めるために必要な溶着金属量を確保することを目的として、ダブルワイヤー仕様を採用しました。
シングルワイヤー仕様では、隙間が大きい箇所で必要となる溶接ワイヤー量に対し、供給量が不足する場合があります。そこで2本のワイヤーを送給できる仕様とし、溶接箇所へ供給するワイヤー量を増加させました。
さらに、単にワイヤー量を増やすだけではなく、ワークの隙間や求めるビード形状に合わせて、ワイヤー供給速度を最適化しました。
改善のポイント
・ダブルワイヤー仕様により、溶接ワイヤーの供給量を増加
・母材間の隙間に応じて、必要な肉盛り量を確保
・ワイヤー供給速度を調整し、過不足のない溶着量となる条件を検討
・隙間のある箇所でも、ビードの肉不足が起こりにくい条件を構築
・追加補修が発生しやすい箇所に対して、安定して隙間を埋められるよう対応
レーザー溶接におけるワイヤー供給量は、隙間の大きさ、溶接速度、ワイヤー径、要求される肉盛り量などと関係します。一般に、隙間が大きくなるほど、そこを充填するための溶着金属量も増えるため、ワイヤー供給速度を条件に合わせて調整することが重要です。
改善後の結果
ダブルワイヤー仕様の採用とワイヤー供給速度の最適化により、隙間のある母材に対しても、必要な溶着量を確保しやすくなりました。その結果、次のような改善につながりました。
母材間に隙間があっても、安定したレーザー溶接が可能になった
ビードの肉不足を改善できた
隙間を埋めきれないことによる強度不足の発生を低減できた
追加の補修作業を削減できた
溶接箇所ごとの仕上がりのばらつきを抑え、製品品質の安定化につながった
補修や手直しにかかる工数を見直し、生産性の向上を図れた
特に、これまで補修対応が必要になりやすかった隙間の大きい箇所でも、適切な肉盛りを行いやすくなったことが大きな改善点です。
エンジニアコメント
レーザー溶接機は「母材の隙間に弱い」と言われることがあります。確かに、隙間の大きさに対して溶接ワイヤーの供給量が不足すると、肉不足やビード形状の不安定、強度不足につながる可能性があります。
しかし、ダブルワイヤーの活用とワイヤー供給速度の最適化により、多くの現場で改善が可能です。隙間のあるワークにおいても、必要な肉盛り量を見極め、適切な溶接条件を構築することで、安定した品質を目指せます。
実際の条件設定では、隙間だけでなく、材質、板厚、継手形状、溶接速度、レーザー出力、ワイヤー径、要求される強度や外観品質などを総合的に確認することが重要です。
同様のお悩みはご相談ください
「レーザー溶接では隙間を埋めにくい」「ビードの肉が不足する」「補修溶接や手直しが多い」といった課題は、設備仕様や溶接条件の見直しによって改善できる場合があります。
遠誠株式会社マシン事業部では、ワークの材質・板厚・形状・隙間の状態・必要な強度・仕上がりのご要望を確認し、テスト加工を通じて現場に合った溶接条件をご提案します。ダブルワイヤー仕様を含め、肉盛り量や隙間への対応にお困りの際は、ぜひご相談ください。
