2026.09.25

コラム

【現場のお悩み解決事例】溶け込みは十分なのに焼けが強い。レーザー溶接の外観品質を改善した事例|溶接の困ったを解決

【現場のお悩み解決事例】
溶け込みは十分なのに焼けが強い。レーザー溶接の外観品質を改善した事例|溶接の困ったを解決

ステンレス製品や意匠面を重視する部品のレーザー溶接では、強度に必要な溶け込みが得られていても、焼けや変色によって外観品質が課題になることがあります。

今回は、溶け込みを維持しながら、ワイヤー供給速度・ウォブル速度・シールドガス圧を見直すことで、焼け・変色を抑え、後処理工数の削減と仕上がりの安定化につなげた事例をご紹介します。

今回のお悩み

「溶け込みは十分に確保できているが、レーザー溶接後の焼けや変色が強い。見た目が重視される製品では、そのままでは使いにくく、研磨や酸洗いなどの後処理に手間がかかる。」

導入前の課題

ステンレス製品や外観品質が求められる部品のレーザー溶接において、溶け込み自体は十分に確保できていました。一方で、溶接箇所の周辺に焼けや変色が大きく発生し、仕上がりの見た目に課題がありました。特に意匠面を重視する製品では、外観基準を満たすために研磨や酸洗いなどの後処理が必要となり、工数やコストの増加につながっていました。

主な課題は次のとおりです。
 溶接後の焼け・変色が目立つ
 ビード周辺の外観品質が安定しない
 研磨や酸洗いなど、後処理の負担が大きい
 後処理の有無によって作業時間がばらつく
 見た目が重視される製品で、歩留まりや仕上がり品質に影響する

レーザー溶接では、出力だけでなく、入熱のかかり方やシールドガスによる保護状態によって、ビードの外観や焼け・変色の出方が変わります。特にステンレスでは、溶接部が高温の状態で酸素に触れると、酸化による変色が発生しやすくなります。シールドガスは溶融池を大気から保護し、酸化や変色を抑える重要な条件の一つです。

実施した改善

遠誠株式会社マシン事業部では、溶け込みを維持しながら焼けを抑えることを目的として、溶接条件を詳細に確認しました。

今回の改善では、次の3項目を中心に最適化を実施しました。
 ワイヤー供給速度
 ウォブル速度
 シールドガス圧

ワイヤー供給速度の調整

ワイヤー供給速度を見直し、過剰な入熱につながりにくい条件へ調整しました。溶接ワイヤーの供給量は、レーザー出力や溶接速度とのバランスが重要です。ワイヤー供給が加工条件に対して適切でない場合、ビード形状や溶け込み、熱のかかり方に影響するため、外観品質を含めた総合的な調整が必要になります。

ウォブル速度の最適化

ウォブル速度を最適化し、熱が一点に集中しすぎないよう調整しました。

ウォブルはレーザー光を揺動させながら溶接する機能です。条件が適切であれば、熱のかかり方やビード形状を調整し、安定した仕上がりを目指すことができます。一方で、ウォブル条件は溶け込みや入熱にも関係するため、外観だけを優先して変更するのではなく、必要な溶け込みとのバランスを確認しながら設定しました。

シールドガス圧の調整

シールドガス圧を見直し、溶接箇所周辺を安定して保護できる条件を検討しました。

ガス量が不足すると、溶融池や高温の溶接部が大気中の酸素の影響を受けやすくなり、焼けや変色につながることがあります。一方で、ガス圧を上げすぎればよいというものでもなく、ガスの流れが乱れると、かえって保護が不安定になる場合があります。そのため、ノズル位置やガスの当たり方も含めて、適切な条件を確認しました。

改善後の結果

ワイヤー供給速度、ウォブル速度、シールドガス圧を総合的に見直したことで、溶け込みを確保しながら、焼け・変色の発生を大幅に抑えることができました。

その結果、次のような改善につながりました。
 焼け・変色を大幅に改善
 ビード外観の向上
 溶け込みを維持したまま、仕上がり品質を安定化
 研磨や酸洗いなどの後処理工数を削減
 外観不良の抑制による歩留まり向上
 意匠面を重視する製品にも対応しやすい、高品質な仕上がりを実現

特に、これまで後処理が必要になりやすかった製品において、溶接直後の外観品質を改善できたことで、仕上げ工程の負担軽減につながりました。

エンジニアコメント

レーザー溶接で焼けが強く出る場合、原因は単純に「出力が高すぎる」ことだけではありません。ワイヤー供給速度、
ウォブル速度、シールドガス圧のバランスが、ビード外観や変色の出方に大きく影響します。

今回のように、溶け込みは十分に確保できている場合でも、各条件を総合的に見直すことで、必要な強度を維持しながら、より美しい仕上がりを目指すことができます。

実際の条件設定では、材質、板厚、継手形状、溶接速度、レーザー出力、ワイヤー径、ガスの種類やノズル位置、要求される外観品質などを確認することが重要です。焼けや変色にお困りの場合は、出力だけを変更するのではなく、周辺条件を含めて検証することをおすすめします。
 

同様のお悩みはご相談ください

「溶け込みはあるのに焼けが強い」「ステンレス溶接後の変色を抑えたい」「研磨や酸洗いなどの後処理を減らしたい」「ビードの外観品質を安定させたい」といったお悩みは、溶接条件や設備仕様の見直しによって改善できる場合があります。

遠誠株式会社マシン事業部では、ワークの材質・板厚・継手形状・求める外観品質・必要な溶け込みなどを確認し、テスト加工を通じて現場に合った条件をご提案します。レーザー溶接の焼け・変色や仕上がり品質にお困りの際は、ぜひご相談ください。

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